【2026年最新】技術・人文知識・国際業務の派遣就労|新しい審査・必要書類・注意点
※この記事は、2026年7月29日現在の出入国在留管理庁の公表資料に基づいて作成しています。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる「技人国」では、派遣社員として働くことも可能です。
ただし、2026年3月9日以降、派遣形態で申請する場合の取扱いが変更されました。派遣元だけでなく、実際に働く派遣先の業務内容や管理状況も、これまで以上に詳しく確認されます。
特に重要なのは、次の3点です。
- 申請時点で派遣先が決まっていること
- 派遣元と派遣先の双方が誓約書を提出すること
- 派遣先で行う仕事が「技術・人文知識・国際業務」に該当すること
派遣会社と雇用契約を結んでいても、派遣先で工場の製造作業、梱包、検品、品出しなどの単純作業を行うことは、原則として認められません。
「技術・人文知識・国際業務」とは
「技術・人文知識・国際業務」は、大学や専門学校などで学んだ知識、または一定期間の実務経験を活用して、専門的な仕事に従事するための在留資格です。
主な仕事には、次のようなものがあります。
技術分野
- システムエンジニア
- プログラマー
- 機械設計
- 電気・電子設計
- 建築設計
- 技術開発
- 生産技術
- 品質管理のうち専門的・技術的な業務
人文知識分野
- 経理
- 総務
- 人事
- 法務
- 営業
- 貿易業務
- マーケティング
- 商品企画
- コンサルティング
国際業務分野
- 翻訳・通訳
- 語学指導
- 海外取引業務
- 広報・宣伝
- デザイン
- 国際的な感性を必要とする商品開発
一方、製造ラインでの組立て、食品製造、梱包、仕分け、清掃、運搬など、主として反復的な作業に従事する場合は、通常は「技術・人文知識・国際業務」の対象になりません。
派遣社員でも「技術・人文知識・国際業務」を取得できるのか
結論として、派遣社員であることだけを理由に不許可になるわけではありません。
外国人本人は派遣会社、つまり「派遣元」と雇用契約を結び、実際の仕事は派遣先の会社で行います。在留資格の申請では、原則として派遣元が外国人の所属機関になります。
ただし、派遣就労の場合は、主に次の3つが審査されます。
- 外国人本人の学歴・専攻・実務経験
- 派遣元企業の事業実態・安定性・適法性
- 派遣先における具体的な仕事内容
派遣元との雇用契約書に「エンジニア業務」や「通訳業務」と書かれていても、実際の派遣先で単純作業をしていれば、在留資格に適合した活動とは認められません。
2026年3月9日から派遣就労の取扱いが変更
出入国在留管理庁は、2026年2月に「在留資格『技術・人文知識・国際業務』をもって派遣形態で就労する場合の取扱い」を公表しました。
この取扱いは、原則として2026年3月9日以降の申請に適用されています。
今回の見直しでは、派遣元だけでなく、派遣先にも適正な就労管理を求める内容となっています。
1.申請時点で派遣先を決めておく必要があります
在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請では、原則として、申請時点で実際に働く派遣先が決まっていなければなりません。
「在留資格が許可されてから派遣先を探す」という予定だけでは、派遣先の仕事内容や契約期間を確認できないため、許可を受けることが難しくなります。
派遣先、就業場所、担当業務、派遣期間などを具体的に決めたうえで申請することが重要です。
2.派遣元と派遣先の双方の誓約書が必要です
派遣形態で申請する場合、次の2種類の誓約書が必要になります。
- 申請人の派遣労働に関する誓約書(所属機関・派遣元用)
- 申請人の派遣労働に関する誓約書(派遣先用)
派遣元には、外国人本人や派遣先に対して、在留資格で認められる活動範囲を説明し、適切に就労させることが求められます。
派遣先にも、外国人を在留資格の範囲外の業務に従事させないことや、入管の調査に協力することなどが求められます。
3.派遣契約期間が在留期間の判断に影響します
派遣就労の場合、派遣契約の期間が短ければ、認められる在留期間も短くなる可能性があります。
例えば、派遣元との雇用契約が長期間であっても、実際の派遣契約が短期間しか確認できなければ、長期の在留期間が認められないことがあります。
長期間の在留を希望する場合は、派遣契約の継続性や、契約終了後も専門的業務を安定して提供できる体制を説明することが重要です。
派遣就労で新たに重要となる必要書類
必要書類は申請の種類、勤務先のカテゴリー、外国人本人の経歴などによって異なりますが、派遣形態では、主に次の書類が必要になります。
在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請
- 派遣元用の誓約書
- 派遣先用の誓約書
- 労働条件通知書または雇用契約書
- 労働者派遣個別契約書
- 派遣先での具体的な業務内容を説明する資料
- 派遣期間、就業場所、指揮命令者などが分かる資料
在留期間更新許可申請
更新申請では、上記に加えて、実際の就業状況を確認するため、次のような資料が必要になります。
- 派遣元管理台帳
- 派遣先管理台帳
- 就業状況報告書
- 現在の労働条件通知書または雇用契約書
- 現在の労働者派遣個別契約書
- 派遣元用および派遣先用の誓約書
単に契約書を提出するだけでなく、実際に契約どおりの専門的業務を行っていることを説明できる状態にしておく必要があります。
派遣先で認められやすい業務と注意が必要な業務
認められる可能性が高い業務
- CADを使用した機械設計
- システム開発・プログラミング
- 生産設備の設計・技術開発
- 専門知識を必要とする品質管理
- 海外取引に関する通訳・翻訳
- 貿易事務
- マーケティング
- 海外顧客向け営業
- 専門的な経理・人事業務
注意が必要な業務
- 製造ラインでの組立て
- 部品の単純な目視検査
- 梱包・箱詰め
- 商品の仕分け
- 倉庫内作業
- 清掃
- 食品の盛り付け
- 店舗での品出し
- レジ業務
- 建設現場での作業
例えば、「品質管理」という職種名であっても、実際の仕事が製品の目視確認や箱詰めだけであれば、専門的業務とは認められない可能性があります。
反対に、品質基準の策定、検査データの分析、不良原因の解析、工程改善、海外工場との技術調整などを担当する場合は、専門的業務として認められる可能性があります。
大切なのは職種名ではなく、実際の仕事内容です。
一部だけ単純作業を行う場合はどうなるのか
専門的業務に伴って、一時的または付随的に現場作業を行うことが、直ちにすべて禁止されるわけではありません。
ただし、1日の大部分を製造、梱包、検品などに費やしている場合は、「主たる活動が専門的業務である」と説明することが難しくなります。
審査では、次の点が確認されます。
- 専門的業務と現場作業の割合
- 1日の具体的な業務スケジュール
- 外国人本人が担当する範囲
- 日本人社員との役割の違い
- 大学等の専攻との関連性
- 専門知識を必要とする理由
業務内容説明書には、「技術業務全般」などの抽象的な表現ではなく、使用するシステム、設備、図面、専門知識、成果物などを具体的に記載する必要があります。
派遣先が変わった場合の注意点
派遣先が変わっても、派遣元との雇用契約が継続していれば、必ず在留資格変更許可申請が必要になるとは限りません。
しかし、新しい派遣先で行う仕事も「技術・人文知識・国際業務」の範囲内でなければなりません。
派遣先の変更によって業務内容が大きく変わる場合は、新しい仕事が在留資格に該当するかを事前に確認することが重要です。
判断が難しい場合には、「就労資格証明書」の交付申請を行い、新しい派遣先での業務が現在の在留資格で認められるか確認する方法があります。
2026年4月15日以降は一部の申請で言語能力資料も必要
2026年4月15日以降、カテゴリー3またはカテゴリー4の所属機関に関する一部の申請では、追加資料が求められています。
特に、言語能力を用いた対人業務に従事する場合は、CEFR・B2相当の言語能力を証明する資料が必要になることがあります。
日本語の場合、代表的な目安は次のとおりです。
- 日本語能力試験JLPT・N2以上
- BJTビジネス日本語能力テスト・400点以上
- その他、CEFR・B2相当と確認できる資料
ただし、日本の大学を卒業している場合など、一定の経歴によって日本語能力を有するものと取り扱われるケースもあります。
すべての「技術・人文知識・国際業務」の申請でJLPT・N2が一律に必須になったわけではありません。所属機関のカテゴリーや担当する業務内容によって、必要性が判断されます。
派遣元企業が準備しておくべきこと
派遣元企業は、申請前に次の項目を確認してください。
- 派遣先が正式に決まっているか
- 労働者派遣個別契約書を作成しているか
- 派遣先の担当業務が専門的業務に該当するか
- 外国人の学歴・専攻と担当業務が関連しているか
- 日本人と同等以上の報酬になっているか
- 派遣元用・派遣先用の誓約書を準備できるか
- 派遣先が入管の調査に協力できるか
- 派遣終了後の雇用継続について説明できるか
- 派遣元管理台帳を適正に作成しているか
派遣先の担当者から「人手が足りないときは製造ラインにも入ってもらう」と説明されている場合は、申請前に業務内容を見直す必要があります。
派遣先企業が注意すべきこと
派遣先企業は、契約書に記載された専門的業務と、実際の仕事を一致させなければなりません。
特に注意したいのは、次のようなケースです。
- 契約書には「通訳」と書き、実際には製造作業をさせている
- 契約書には「品質管理」と書き、実際には検品や箱詰めだけをさせている
- 契約書には「エンジニア」と書き、実際には機械操作だけをさせている
- 派遣後に、説明のない別部署へ配置している
- 派遣先管理台帳と実際の就業状況が一致していない
このような状況は、次回の在留期間更新で問題になるだけでなく、派遣元・派遣先双方の外国人受入れにも影響する可能性があります。
まとめ
2026年3月9日以降、「技術・人文知識・国際業務」による派遣就労の審査では、派遣先での実際の仕事内容が一層重視されています。
派遣社員として働くこと自体は認められていますが、次の点を必ず確認する必要があります。
- 申請時点で派遣先を確定する
- 派遣元と派遣先の双方で誓約書を作成する
- 労働者派遣個別契約書を提出する
- 派遣先で専門的・技術的な業務を行う
- 更新時には管理台帳や就業状況報告書を提出する
- 契約書の内容と実際の業務を一致させる
- 派遣契約期間が在留期間に影響することを理解する
「エンジニア」「品質管理」「通訳」などの職種名だけで許可が判断されるわけではありません。外国人本人の学歴・職歴と、派遣先で行う具体的な仕事との関連性を、書面で明確に説明することが重要です。
派遣による「技術・人文知識・国際業務」の申請では、派遣元・派遣先・外国人本人の3者で、事前に仕事内容と必要書類を確認することをおすすめします。
※在留資格の許可は、外国人本人の経歴、勤務先の状況、業務内容その他の事情を踏まえて個別に審査されます。
参考資料
- 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』をもって派遣形態で就労する場合の取扱い」(2026年2月公表、2026年3月9日運用開始)
出入国在留管理庁・派遣就労の取扱い - 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」(2026年7月29日確認)
出入国在留管理庁・必要書類 - 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(最終改定2026年4月)
出入国在留管理庁・許可事例と不許可事例
