【2026年最新】特定技能1号は19分野へ拡大|新たに追加されたリネンサプライ・物流倉庫・資源循環を行政書士が解説
※この記事は、2026年8月22日現在の出入国在留管理庁、厚生労働省、国土交通省および環境省の公表資料に基づいて作成しています。
はじめに
特定技能1号の対象分野は、2026年の制度改正により、従来の16分野から19分野へ拡大されました。
新たに追加されたのは、次の3分野です。
- リネンサプライ分野
- 物流倉庫分野
- 資源循環分野
政府は2026年1月23日、特定技能制度と育成就労制度に関する分野別運用方針を閣議決定しました。その後、関係省令等の整備が進められ、特定技能1号の対象は19分野となっています。
ただし、19分野に追加されたからといって、どの企業でも直ちに外国人を採用できるわけではありません。
外国人本人の技能・日本語能力だけでなく、受入れ企業の事業内容、許認可、協議会への加入、支援体制など、分野ごとの基準を満たす必要があります。
本記事では、新たに追加された3分野の概要と、外国人を受け入れる企業が注意すべきポイントを行政書士が解説します。
特定技能1号とは
特定技能1号は、人手不足が深刻な特定産業分野において、一定の専門性・技能と日本語能力を持つ外国人が働くための在留資格です。
特定技能1号には、主に次の特徴があります。
- 原則として技能試験と日本語試験への合格が必要
- 在留できる期間は通算5年以内
- 家族の帯同は原則として認められない
- 受入れ企業または登録支援機関による支援が必要
- 日本人と同等以上の報酬が必要
- 原則としてフルタイムの直接雇用が必要
技能実習2号を良好に修了し、修了した職種・作業と特定技能の業務に関連性が認められる場合は、技能試験や日本語試験が免除されることがあります。
ただし、新たに追加された分野への移行については、これまでの技能実習の職種・作業との関連性や試験免除の可否を、個別に確認する必要があります。
特定技能1号は16分野から19分野へ
2026年の制度改正により、特定技能1号の対象となる特定産業分野は、次の19分野となりました。
- 介護
- ビルクリーニング
- リネンサプライ
- 工業製品製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 自動車運送業
- 鉄道
- 物流倉庫
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
- 林業
- 木材産業
- 資源循環
2024年には、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野が追加され、対象が12分野から16分野に拡大されました。
さらに2026年、リネンサプライ、物流倉庫、資源循環の3分野が追加され、合計19分野となりました。
新たに追加された3分野
1.リネンサプライ分野
リネンサプライとは、ホテル、旅館、病院、介護施設、飲食店などで使用するシーツ、タオル、ユニフォームなどを回収し、洗濯・仕上げを行い、再び納品する事業です。
特定技能1号では、主に次のような業務が想定されています。
- 使用済みリネン類の入荷
- リネン類の仕分け
- 業務用洗濯機などを使用した洗濯
- 乾燥、仕上げ
- 製品のたたみ作業
- 出荷準備
- リネン類の管理
一般家庭を対象とする通常のクリーニング店と、ホテルや病院などを対象とするリネンサプライ事業は、必ずしも同じ取扱いではありません。
会社がクリーニング業を行っているというだけで、当然にリネンサプライ分野の受入れ企業になれるわけではありません。実際の事業内容や許認可、取引形態などを確認する必要があります。
受入れ見込数
リネンサプライ分野の特定技能1号について、2029年3月末までの受入れ見込数は4,300人です。
この数字は、必ず4,300人を受け入れるという目標ではなく、制度運用上の受入れ上限として設定されたものです。
2.物流倉庫分野
物流倉庫分野は、倉庫における貨物の入庫、保管、仕分け、出庫など、物流を支える業務を対象とする分野です。
主に次のような業務が想定されています。
- 貨物の入庫作業
- 検品
- 倉庫内での保管
- ピッキング
- 仕分け
- 梱包
- 出庫作業
- 在庫管理に関連する作業
ただし、単に「倉庫で働く」という理由だけで、物流倉庫分野に該当するわけではありません。
受入れ企業が行っている事業の種類、倉庫業法上の登録、外国人が実際に担当する業務、試験制度など、分野別の要件を確認する必要があります。
また、トラックの運転業務は、物流倉庫分野ではなく自動車運送業分野の問題になります。倉庫内作業とトラック運転を同じものとして扱うことはできません。
受入れ見込数
物流倉庫分野の特定技能1号について、2029年3月末までの受入れ見込数は1万1,400人です。
新たに追加された3分野の中では、最も多い受入れ見込数となっています。
3.資源循環分野
資源循環分野は、廃棄物などを適正に処理し、再利用できる資源を選別・回収・再生することにより、循環型社会を支える分野です。
対象となり得る業務として、次のような作業が想定されています。
- 廃棄物や資源物の受入れ
- 資源物の選別
- 再資源化に必要な処理
- 機械設備の操作
- 中間処理に関連する作業
- 再生資源の製造に関連する作業
資源循環事業には、一般廃棄物、産業廃棄物、古紙、金属、プラスチックなど、さまざまな種類があります。
そのため、廃棄物処理業の許可を持っていれば、すべての業務で特定技能外国人を受け入れられるとは限りません。
企業が保有する許可、処理する品目、処理方法、外国人に担当させる業務が、資源循環分野の基準に適合しているかを確認する必要があります。
受入れ見込数
資源循環分野の特定技能1号について、2029年3月末までの受入れ見込数は900人です。
新たに追加された3分野の受入れ見込数は、次のとおりです。
| 新規分野 | 2029年3月末までの受入れ見込数 |
|---|---|
| リネンサプライ | 4,300人 |
| 物流倉庫 | 1万1,400人 |
| 資源循環 | 900人 |
| 合計 | 1万6,600人 |
特定技能1号全体の受入れ見込数
19分野全体の特定技能1号の受入れ見込数は、2029年3月末までに80万5,700人です。
一方、2027年4月から開始される育成就労制度の受入れ見込数は、17分野で42万6,200人とされています。
両制度を合計した受入れ見込数は、123万1,900人です。
| 制度 | 対象分野 | 受入れ見込数 |
|---|---|---|
| 特定技能1号 | 19分野 | 80万5,700人 |
| 育成就労 | 17分野 | 42万6,200人 |
| 合計 | ― | 123万1,900人 |
特定技能1号は19分野ですが、育成就労制度は17分野です。
航空分野と自動車運送業分野は特定技能の対象ですが、育成就労制度の対象には含まれていません。
追加された分野で、すぐに申請できるとは限らない
ここは特に注意が必要です。
特定産業分野として追加されても、実際に在留資格を申請するためには、次の準備が整っていなければなりません。
- 関係省令や告示の施行
- 分野別運用要領の整備
- 技能試験の実施
- 試験実施機関の決定
- 協議会制度の整備
- 受入れ企業に関する上乗せ基準の整備
- 必要書類と申請様式の公表
出入国在留管理庁も、2026年1月23日の閣議決定で新たに定められた分野や業務区分について、省令等の準備が整い次第、受入れが可能になると案内しています。
したがって、外国人の採用を検討する企業は、「19分野に追加された」という情報だけで雇用契約や入国日を確定するのではなく、申請時点の最新情報を確認する必要があります。
外国人本人に求められる要件
特定技能1号を取得する外国人には、原則として次の要件が求められます。
1.18歳以上であること
特定技能外国人は、原則として18歳以上でなければなりません。
2.技能試験に合格すること
希望する分野について、特定技能1号評価試験などの技能試験に合格する必要があります。
分野が異なれば、必要な技能試験も異なります。
3.日本語試験に合格すること
原則として、次のいずれかの日本語試験への合格が必要です。
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
- 日本語能力試験(JLPT)N4以上
ただし、介護分野などでは、これに加えて分野固有の日本語試験が必要です。新規3分野についても、最新の試験実施要領を確認する必要があります。
4.健康状態が良好であること
健康診断を受け、特定技能外国人として安定して就労できる健康状態であることを証明します。
5.必要な届出・手続きに応じること
在留資格の申請だけでなく、住居地の届出、所属機関に関する届出などを適切に行う必要があります。
受入れ企業に求められる要件
特定技能外国人を雇用する企業は、主に次の要件を満たす必要があります。
- 外国人と適正な特定技能雇用契約を締結する
- 日本人と同等以上の報酬を支払う
- 労働法令、社会保険法令および租税関係法令を遵守する
- 外国人が理解できる方法で労働条件を説明する
- 原則としてフルタイムで雇用する
- 1号特定技能外国人支援計画を作成する
- 支援計画を確実に実施できる体制を整える
- 分野別協議会への加入など、分野固有の基準を満たす
- 出入国在留管理庁への届出を適切に行う
企業が自ら支援を実施できない場合は、登録支援機関に支援業務の全部を委託する方法があります。
ただし、登録支援機関へ委託しても、受入れ企業としての雇用管理責任までなくなるわけではありません。
1号特定技能外国人に必要な支援
受入れ企業または登録支援機関は、1号特定技能外国人に対し、主に次の支援を行います。
- 事前ガイダンス
- 出入国時の送迎
- 住居確保や生活に必要な契約の支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続きへの同行
- 日本語学習機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 外国人の責任ではない離職時の転職支援
- 定期的な面談と行政機関への通報
支援は、外国人が十分に理解できる言語で行う必要があります。
支援計画を作成しただけで、実際の支援を行っていない場合は、在留期間更新や今後の外国人受入れに影響する可能性があります。
「技術・人文知識・国際業務」との違い
物流倉庫や資源循環などで外国人を採用する場合、「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能1号」のどちらになるかが問題になることがあります。
判断の中心となるのは、職種名ではなく、外国人が実際に行う業務です。
技術・人文知識・国際業務になり得る例
- 物流システムの設計・開発
- 在庫管理システムの導入
- 物流企画
- 貿易事務
- 海外取引に関する通訳・翻訳
- 専門知識を必要とする生産管理
- リサイクル技術の研究・開発
- 専門的な機械設計
特定技能1号になり得る例
- 倉庫での入出庫・仕分け・ピッキング
- リネン類の仕分け・洗濯・仕上げ
- 資源物の選別・処理
- 分野別運用方針で認められた現場業務
「管理」「品質管理」「通訳」などの職種名を付ければ、技術・人文知識・国際業務が認められるわけではありません。
実際の仕事が倉庫内作業、洗濯、選別、梱包などを中心とする場合は、特定技能1号に該当する可能性を検討する必要があります。
採用前に企業が確認すべきチェックリスト
新たに追加された3分野で外国人を採用する場合は、少なくとも次の事項を確認してください。
- 自社の事業が対象分野に含まれるか
- 対象となる業務区分が申請可能な状態になっているか
- 必要な許可・登録を取得しているか
- 外国人に担当させる仕事が対象業務に該当するか
- 技能試験が実施されているか
- 外国人が技能試験と日本語試験に合格しているか
- 技能実習から移行する場合に試験免除が認められるか
- 日本人と同等以上の報酬になっているか
- 分野別協議会への加入が必要か
- 支援計画を実施できるか
- 登録支援機関へ委託する必要があるか
- 申請時点の最新様式を使用しているか
特に、新しい分野では申請方法や必要書類が更新される可能性があります。古い解説記事や申請書の様式だけを参考にせず、必ず最新の公表資料を確認してください。
まとめ
2026年の制度改正により、特定技能1号の対象は16分野から19分野へ拡大されました。
新たに追加されたのは、次の3分野です。
- リネンサプライ分野
- 物流倉庫分野
- 資源循環分野
2029年3月末までの受入れ見込数は、リネンサプライが4,300人、物流倉庫が1万1,400人、資源循環が900人です。3分野の合計は1万6,600人となります。
ただし、対象分野への追加と、実際に在留資格申請を行える時期は、必ずしも同じではありません。
外国人を採用する前に、次の点を確認することが重要です。
- 受入れ企業が分野別の要件を満たしているか
- 外国人が必要な技能・日本語要件を満たしているか
- 実際の仕事内容が対象業務に該当するか
- 技能試験や協議会などの受入れ体制が整っているか
- 適切な支援計画を作成・実施できるか
特定技能1号の申請は、外国人本人の試験合格だけで判断されるものではありません。受入れ企業の事業内容、雇用条件、支援体制、分野固有の基準を総合的に確認したうえで準備する必要があります。
※在留資格の許可は、外国人本人の経歴、試験の合格状況、受入れ企業の体制、雇用条件その他の事情を踏まえて個別に審査されます。
